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こんにちは、くふうロコしずおか公式ライターの山ちゃんです。

静岡駅から徒歩約5分。賑わいを見せる街並みの一角に、凛とした風格をたたえる門が静かに佇みます。

この門をくぐる時、誰もが胸に特別な想いを抱きます。

時に華やかに。
時に厳かに。
時に和やかに。

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こちらは静岡でも屈指の格式を誇る『浮月楼 徳川慶喜公屋敷跡』。

その歴史ある空間でカフェメニューが始まったとのこと。どのような時間をもたらしてくれるのでしょうか。

期待に胸を膨らませながら、ゆっくりと門をくぐりました。

浮月楼 徳川慶喜公屋敷跡

この地の歴史は、江戸時代にまで遡ります。

・慶長年間~: 染物師の町として栄えた紺屋町の代官屋敷時代
・明治2年: 渋沢栄一翁による商法会所の時代
・明治2年~明治21年: 徳川慶喜公が居を構えた屋敷跡時代

これらの時代を経て、明治24年に現在の礎となる「浮月亭」(後の浮月楼)が開業しました。

現在の浮月楼は、徳川慶喜公が暮らした当時の面影を今に伝える池泉回遊式庭園を中心に、料亭、レストラン、結婚式場、催事場として多くの人々を迎え、人生のさまざまな節目に寄り添っています。

浮月楼と最後の将軍・徳川慶喜公

浮月楼は、江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜公と深いゆかりを持つ場所です。

幕末の激動を経て大政奉還を果たした慶喜公は、明治2年、この地の旧代官屋敷を整え、およそ20年にわたり過ごされました。

静岡の人々は、敬愛の念を込めて慶喜公を「慶喜様(けいきさま)」とお慕いしていました。

静岡時代の慶喜公は、狩猟をはじめ、油彩画や写真などの芸術にも深い関心を寄せ、その趣味に没頭されました。

政治の第一線から距離を置き、移ろう四季を慈しみ、静かな時を重ねた英明なる慶喜公。この静岡で何を思い、どのような未来を見つめておられたのでしょうか。

hugetu (10).jpeg ロビー・階段付近には歴史にふれられるコーナーが

浮月楼で始まった、平日限定の『カフェ- Café de Fugetsu』

地元の人々にとっても憧れの存在である浮月楼。その特別さゆえ、日常の中で訪れる機会は決して多くありませんでした。

「より気軽に浮月楼の味を楽しんでみたい」
「美しい庭園をゆっくりと拝観したい」

そのような多くの声に応えるかたちで実現したのが、『カフェ‐Café de Fugetsu』です。歴史ある空間をより身近に感じられる新たなきっかけを提供してくださった浮月楼の心遣いに、感謝せずにはいられません。

カフェエリアは、浮月楼1階フロントの右奥。

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落ち着いた雰囲気の中で、庭園の趣を感じながら、ゆったりとしたひとときを過ごすことができます。

『Café de Fugetsu』の営業は、平日(原則 火〜金曜)限定。ドリンクのみの利用はもちろん、軽食としてランチプレートも楽しむことができます。

メニューの礎は、慶喜公が賓客をもてなした当時のレシピ

徳川慶喜公は、日本の文化を大切にしながらも、西洋の文化や技術をいち早く取り入れた先進的な感性をもつ人物でした。

幕末から明治にかけて、フランス人料理人を招き海外からの賓客をもてなした記録が残されています。今回のカフェメニューは、当時の晩餐会で振る舞われた料理のレシピが礎となっています。浮月楼社長が現在の御当主より当時のレシピを受け継ぎ、料理長が現代の感性を加えながら丁寧にアレンジしました。

一皿の料理に込められているのは、単なる美味しさだけではありません。そこには、慶喜公が大切にされたおもてなしの心と、時代を越えて受け継がれる文化の記憶があります。過去と現在がつながる特別な一皿を、ぜひ味わってみてください。

慶喜公ゆかりの「将軍珈琲」と選べるカフェセット

「Café de Fugetsu」のカフェセットは、3種類から選ぶことができます。

〇 SAZA将軍カステラセット 1,500円(税込)
〇 浮月シフォンケーキセット 1,500円(税込)
〇 わらび餅セット 1,500円(税込)

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まず私が心惹かれたのは「将軍珈琲」。茨城県の老舗珈琲店 SAZA COFFEE が幕末の文献をもとに研究を重ね、徳川慶喜公が賓客をもてなす際に提供したフランス風スマトラコーヒーを再現した一杯です。

当時の幕府とフランスの深い関係を思いながら味わう珈琲には、単なる飲み物を超えた歴史の趣が感じられます。

穏やかなジャズが流れるカフェスペース。大きな窓の向こうには、陽射しを受けた庭園の緑が広がります。静かで落ち着いた、大人のための特別な空間です。

ほどなくして運ばれてきた将軍珈琲。最初に感じたのは、豊かに立ちのぼる香りでした。

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ノリタケの美しいカップに注がれた一杯は、まさに珠玉の味わい。

まずは何も加えず、そのままいただきます。深煎りならではの奥行きあるコク、そして口の中から鼻へと抜けていく芳醇な香りとまろやかさに思わず笑みがこぼれます。

続いてミルクを加えると、また違った表情に。深い味わいとミルクが調和し、より優しく豊かな余韻が広がります。ホットとアイスから選べますが、香りをじっくり楽しむならホットがおすすめです。

そして、もうひとつのお楽しみが「浮月シフォンケーキ」。

浮月楼料理長監修による一品で、淡いセピア色の生地には細やかな紅茶の茶葉が練り込まれています。ふんわりと軽やかな口当たりに、上品なクリームとシャインマスカットの爽やかな甘みが重なり、優雅なひとときを演出します。

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添えられる果物は季節ごとに変わるとのこと。その時季ならではの旬の味わいに出会えるのも、訪れる楽しみのひとつです。

ドリンクのみのメニューもあり、アルコール、ノンアルコール各3種から選べます。静岡が誇る和紅茶「丸子紅茶」や「清水みかんのジントニック 」など、ご当地らしさが光るドリンクもありました。

14時からの贅沢。浮月楼初の「洋食プレート」で文明開化の味わいを

「Café de Fugetsu」では、午後の時間帯(14:00〜)に軽食メニューも楽しむことができます。メニューには、慶喜公が賓客をもてなした時代の洋食文化を感じさせる料理が並びます。

〇 DIAMOND FUJI 赤身ビフテキプレート(1日限定5食) 2,500円(税込)
〇 和牛ハンバーグプレート(1日限定5食) 2,000円(税込)
〇 ロブスターコロッケとエビフライプレート 1,800円(税込)
〇 チキンフリカッセプレート 1,800円(税込)

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少し遅めのランチタイムではありますが、ゆったりとした午後のひとときに、上質な料理を軽やかに楽しむにはぴったりの時間。

夕食までの間に少し贅沢な味わいをいただきたい時、美しい庭園を眺めながら心ほどける時間を過ごしたい時。そんな大人のための午後の楽しみ方を提案してくれます。

美しい玉手箱のようなアフタヌーンティーセット

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こちらは、和と洋が織りなす姫君の玉手箱のようなアフタヌーンティーセット(4500円・税込)。

白木の重箱につめられた各種スイーツや、セイボリーを彷彿させる和の品々。気品と華やかさを兼ねそなえた逸品です。

3種類のドリンクを心ゆくまで味わえるのも、このセットならではの魅力です。このクオリティでこちらのお値段…東京、横浜の方が来訪されたら驚くことでしょう。

※前日までの要予約(2名様より受付)

カフェタイムの締めくくりは、庭園散策を楽しんで

カフェで優雅なひとときを過ごした後は、目の前に広がる日本庭園へ足を運んでみましょう。

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徳川慶喜公の時代、浮月楼の敷地は現在のほぼ倍にあたる約4,500坪以上を誇り、その半分以上が庭園でした。園内には大小二つの池が配され、ゆったりとした景観が広がっていたと伝えられています。

明治初期に整えられた庭園は、江戸時代中期から代々続く名庭師・小川治兵衛によるもの。慶喜公が自ら小川治兵衛を招き、この庭を築かせたと伝えられています。

また昭和には、近代数寄屋建築の第一人者として知られる建築家・吉田五十八(いそや)が浮月楼の建築に携わりました。

現在の料亭「明輝館」は、静岡大火や戦災によって焼失した建物の設計思想を受け継ぎ、昭和25年(1950)に再建されたものです。設計は建築家・伴野三千良が手がけました。

こうした歴史と文化を今に伝える浮月楼。美しい庭園は2025年、国登録記念物(名勝地関係)に登録され、明輝館は国指定有形文化財となっています。(庭園は、浮月楼を利用された方のみ拝観できる特別な空間です。)

歴史を重ねた庭園には、趣ある橋や茶室、小さなお社が静かに佇みます。

丹念に手入れされた木々が風にそよぎ、やわらかな葉擦れの音が耳に心地よく響きます。芝生ではセキレイが愛らしく遊び、池では錦鯉やハヤなどの小魚が悠々と泳ぎます。

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水面には木々の緑と夏空が映り込み、光を受けて揺らめくその情景は、まるで一幅の日本画のよう。絶え間なく響く水のせせらぎは、ここが静岡の街なかであることを忘れさせるほど、穏やかな時間を紡いでくれます。

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庭の一角にはお稲荷様が祀られ、傍らの石碑には「享保」の文字が刻まれています。三百年近くにわたり駿府の人々を静かに見守り続けてきた優しいまなざしは、これから先も変わることなく、この地を包み続けていくに違いありません。

結びに

和の伝統と西洋文化が響き合った、幕末から明治という時代。

この場所には、確かに徳川慶喜公がお住まいになり、渋沢栄一翁をはじめ、多くの幕臣たちが訪れていました。

百五十余年の時を経た今、その歴史ある場所で、ゆったりとカフェタイムを楽しめること。そのひとときには、何ものにも代えがたい豊かさがあります。

本来、人生の節目や晴れの日を彩る特別な場所である浮月楼。その空間が、カフェというかたちを通して少しだけ身近な存在となったことを、私は嬉しく感じています。

美しい庭園を眺めながらいただくメニューの数々には、歴史と文化、そして静かな時間が溶け込んでいます。皆さまもぜひ、明治の息吹が今なお息づくこの場所で、心満たされるひとときをお過ごしください。

■浮月楼 カフェ - Café de Fugetsu
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町11-1
電話:054-252-0131
カフェ営業日:平日のみ(原則 火〜金曜)
営業時間:カフェメニュー・ドリンクメニュー/11:00~16:30(L.O. 16:00)、軽食メニュー/14:00~16:30(L.O. 16:00)
※営業日時等、詳細はホームページへ
公式ホームページ: 浮月楼


※この記事は2026年8月時点での情報を基に作成しています。
※施設・店舗情報は公式サイトおよびGoogleマップの情報を基に作成しています。

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この記事を書いた人
神社仏閣巡りが趣味です。静岡県中部を中心に、ゆるい散歩をしています。静岡の素敵なものや、おいしいものを探すのが大好きです。
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