宮城が誇る"酒蔵"見学【一ノ蔵】渾身の12品飲み比べ「一生飲めない酒を作る?」「本当に粋な飲み方」名物社長の"情熱"にシビれた!

こんにちは、「くふうロコ仙台」公式ライター、木こりの源です。
「木こり」が”例の神殿”にて転職し、「ビール醸造家」になりたてホヤホヤ、現在レベル1です。
2000年くらいの第1次地ビールブームでビール好きとなり、ビール工場作りの夢を叶えるべく、宮城県名取市の「ゆりあげ麦酒醸造所」で研修。
2024年8月、千葉県長柄町で林業と地域活性化を目指すクラフトビール工場「ながら木こりんブルワリー」を開業しました。
今回、ひょんなご縁で、宮城を代表する銘酒「一ノ蔵」の酒蔵見学をさせていただくことに。
そこで出会ってしまった、日本酒愛ダダ漏れの"偉大なつくり手"の正体とは…!?
いざ、宮城が誇る日本酒の酒蔵「一ノ蔵」へ!
農業に参入する法人の協議会で、「一ノ蔵」専務の玉木さんに知り合ったことがきっかけで、なんと酒蔵見学をさせていただけることに!
今回のパーティは、「ながら木こりんブルワリー」醸造家でシェフのちはるさんと、「くふうロコ仙台」編集部のしこさんだ。
全国のコンビニやスーパーでも見かける、一ノ蔵さんの日本酒。
この日本酒は、どんな所で作られているのか…。
日本酒づくりって、木桶がずらっと並んでいて、そこで作るイメージだが、大量生産だからオートメーション化された現代的なものなのだろうか… 。
いろいろと想像を馳せている間に、一行は松山町駅に到着。
特別に玉木専務が車で迎えに来てくれた。
玉木専務の第一印象は、"取っ付きにくそうな人"。
…だったのだが、飲みの場を和ませるため、オヤジギャグを連発!
誰にでも分け隔てなく接してくれる、優しい人だった。
その玉木専務いわく、
「鈴木社長は、僕の10倍語りますよ〜」
とのこと…。
10倍のエネルギーゲインがあるとでも言うのか…?
期待と不安を胸に、一ノ蔵に到着。
ホテルみたいな建物だ。
駅から車で6分程度の山間にあるのだが、徒歩で行くにはちょっと遠い。
しかし、水が良いと言う理由で、この場所に決めたとのこと。
入ってすぐに、顔はめパネルが…。
引き寄せられるように撮りだす2人。
早くもはしゃぎだすパーティたち
ロビーで紹介ビデオを見た後、さっそく蔵見学へ。
蔵見学開始!?すぐにラスボス登場!!
ここで、噂のラスボス鈴木社長が現れた!
冒険開始で、すぐラスボス登場って早い!早すぎる!
さすが老舗、出し惜しみしないのだ!
物腰は柔らかいが、信念の様なプレッシャーが伝わってくる
強い信念を秘めた、凛々しい面立ち…。
と思った刹那、カメラマンの僕が身構える前に、鈴木社長がおそって来た。
「髪は多めに撮ってくださいね!」
ズシャ!
先制攻撃から、つうこんの一撃をはなって来るあたり、ビッグ「マンスター」の匂いプンプンだ…。
※マンスター:クラフトマンはスターだ!ということから、モンスター級に個性的で、良い意味で”変態”なクラフトマンを「マンスター」と定義した造語です。
昭和48年に、宮城県内の4つの蔵が1つになって「一ノ蔵」になった、と言う成り立ちから話は始まった。
まほうを使っているわけではありません!
当時、日本酒業界の今後を憂いた、4つの蔵元の若手社長が集まって立ち上げたそう。
今で言うところのベンチャーだ。
「一ノ蔵」と言う名前は、合併当時、予算をかけずにプロモーションをかけるために、名前を一般募集したとのこと。
「木こりんブルワリー」を立ち上げて間もない我々には刺さる話だ。
飛躍的に知名度を上げたのが、「一ノ蔵無鑑査」。
国が清酒の格付けを行う「級別制度」が廃止される以前のこと。
「良質なお酒をお求めやすく」
という想いから、 あえてこの「鑑定」に出さずに、酒税の安い2級酒として販売したことが話題を呼んだ。
それが、全国展開の足がかりに なったとのこと。
無鑑査が軌道にのり、もっと攻勢に出ようと、このホテルのような蔵に投資したところ、冷夏と長雨によってコメ不足となった、1993年の「平成の米騒動」が直撃。
原料不足のため、酒をつくれなくなり、大打撃を受けた。
「良質の原料確保は、酒蔵の生命線」
ということから、地元に酒米研究会が設立され、 のちに蔵自らも農業へ参入する。
その後、発泡清酒「すず音」が、テレビ番組で紹介され大ブレイクするなど、斬新な商品を出し続けている。
まだ、蔵見学が始まっていないのに、この濃さ…!?
やっと、蔵見学へ。
【蔵見学】「手づくり」と「効率化」の絶妙なハーモニー
この台で職人が手作業で混ぜる
最初の、麹をつくる工程は、なんと全て手作業!
米に麹菌を振りかけ、発酵してくると、温度が上がってくる。
その温度を冷ますために、手でかき混ぜるのだが、工程2日目から24時間体制でかき混ぜるのだとか。
機械任せにせず、微細な変化を感じながら職人が調整していくとのこと。
気をためている訳ではありません!
こんなに大規模でやっていても、そこは手作業…!!
いわく、重いものを運ぶなど、人の体に負担がかかる部分は、機械を取り入れて効率化。
一方で、「麹づくり」のような大事なところは手づくりするのが、一ノ蔵流とのこと。
ガッツリ機械化している工程もある。
勉強になる!
発酵や精米によるお酒の種類の話をすること20分。
「もう少し詳しく話すと、後2時間半かかるからこの辺で」と… 。
心のなかで、「じゃ、今日はこれくらいにしておいてやろう」と言いつつ(笑)、お酒の仕込みの工程へ。
突然ですが、麹と酵母の働きの違いをご存知だろうか?
麹でアルコールができる、と思っている方も多いのでは?
麹は、米デンプンを糖に分解し、その糖を酵母が食べてアルコールが生成される。
また、ビール作りにはあまり好ましくない乳酸菌も、日本酒には良い働きをするそうで、確かに乳酸菌からくる日本酒の酸味は、味に奥深さを与えてくれる。
菌に善悪は無く、"活かすも殺すも人間次第"ということを再認識できた。
そんな学びをしながら、かれこれ1時間以上ずっと話している鈴木社長。
底しれないエネルギーゲインを持っている…。
全ての発酵食品づくりの大敵である"納豆菌"の話をすると、後2時間かかると言うので、そこは華麗に身をかわして、今回は遠慮させていただいた。
これ以上細かく話すと、永遠に酒づくりについて書くことになるので、詳しくお酒のつくり方を知りたい方は、蔵見学を予約してほしい。
大人も子どもも!楽しく日本酒を勉強できるイベントも
また、一ノ蔵では年1回・1泊2日で、「日本酒大学」を開いており、本格的に日本酒を学べるそうだ!
夜は"自習"と称した交流飲み会が催されるそうなので、飲兵衛は楽しく日本酒を勉強できること、間違いない!!
子ども向けには、小学校5、6年生を対象に、発酵を学んで体験できる「いちのくら微生物林間学校」も行っている。
学んだ小学生たちには、その数年後にビックサプライズが待っているのだ。
これは、一ノ蔵さんの粋な計らいで、一生もののファンになること間違いない!
あくまでもサプライズなので、詳細は伏せておきます。
詳しくは一ノ蔵さんにお問い合わせしてほしい。
▶︎イベントの詳細情報はこちら
いざ!お楽しみの「試飲会」へ!
蔵見学が一段落したところで、お楽しみの試飲会!
今回、我々の為に特別に品揃えいただいた、一ノ蔵の酒がずらっと並ぶ。
その後ろに、鈴木社長が、「私を倒さないと試飲にたどり着けない」と言わんばかりに待ち構えている!
「さ~、どれだけ飲めるか試してやろう!」と言わんばかりの仁王立ちなのである
鈴木社長と玉木専務という、まさにラスボスパーティの軽快な"ダジャレかぶせあい"攻撃を何とかくぐり抜けて、一行は試飲にたどり着いたのである。
日本酒好きに捧げる!渾身の6種
しっかし、蔵見学後の試飲は格別だな〜
などと思いつつ、まずは「一ノ蔵特別純米辛口」から。
スッキリ飲みやすく、これぞ定番といった面持ちだ。
1つずつの味レポートは、またの記事にお任せして、今回は軽くお酒の紹介だけしていこう。
お次は、日本刀から名前を取った「大和伝」。
大和伝
オーガニックにこだわった「人と自然が共生することについて考えてみた」。
人と自然が共生することについて考えてみた
原酒のコクを感じる「特別純米原酒」。
蔵見学に来た人しか購入できない限定品だ。
特別純米原酒
上品で高級な口当たり「松山天」。
松山天
最高品質の「笙鼓」。
笙鼓
と、いわゆる、日本酒好きのためのお酒が続いた。
日本酒はあまり…派に推したい5種&とっておき1種
ここからご紹介するのは、日本酒の間口を広げるために、あまりがっちり飲まない女性を意識したお酒だそう。
度数8%の日本酒「ひめぜん」から、梅酒とのブレンドで産まれた「ひめぜん梅」。
ひめぜん
ひめぜん梅
全ての日本酒の入り口になる、カクテルのような「ひめぜん ソーダ」。
ひめぜん ソーダ
こちらは、瓶内発酵で産まれる炭酸の発泡日本酒「すず音」。
すず音
これ絶対ぶどうが入っている!と思うほどのフルーティーな発泡日本酒「すず音Wabi」。
すず音Wabi
そして最後は、一番の変わり種。
"なかなか飲んでいただけないお酒"をめざした、という、紹興酒のような味わいの「Madena(マデナ)」。
Madena(マデナ)
以上、一気に試飲させていただきました!
ビッグ「マンスター」鈴木社長への質問コーナー!
ほろ酔いの一行は、最後に応接室で鈴木社長にインタビューをして、工場見学を締めくくることに。
どうしても気になる!「飲んでいただけないお酒」とは?
先ほど出てきて、気になっていた「飲んでいただけないお酒」とは何か、からお聞きした。
お酒をつくる側としては、せっかくつくったお酒をぜひ飲んでほしい、と思うもの。
だが、鈴木社長が世界のお酒を勉強する中で、ワインやウイスキーなど、
「寝かせれば寝かせるほど、ヴィンテージとして価値の上がるお酒」
というのは、
「もったいなくて飲めない」
という理由で、飲んでいただけないことがある、と気付かされたそう。
例えば、自分の生まれ年のワインをいただいたとして、それをどのタイミングで飲むのか考えてみよう。
50歳の節目の誕生日に飲むのか?
いや、還暦の祝いに飲むのか。
もっと適したタイミングがあるのではないか…?
と思い悩む間に時間が経ち、結局飲む機会を逃し、自分が生きている間に飲めないお酒になってしまう。
というお酒が存在すると。
確かに、自分に置き換えてみても、もったいなくて飲めないかもしれないと考えてしまう。
いつか飲む日のことを考えながら、長期に渡って人生を共にするお酒があったら。
そんな発想で造った日本酒が「Madena(マデナ)」なのだと。
なんとも面白い話だ。
「一ノ蔵」が大切にする"伝統"とは?
お酒づくりの積み重ねの中で、突然眉間に光るきらめきによって、画期的な作業方法や道具が生まれることがある。
その積み重ねで、今の酒づくりがあり、それが伝統になる。
ひらめきで道具を造っている途中なのだ!
時代や道具が変われど、現在でも突然のひらめきがあるかもしれない。
それを昔のやり方にこだわらずに、果敢に挑戦していくことこそ、伝統なのだそうだ。
(あくまで、木こりの源なりの解釈です。
鈴木社長、間違っていたらごめんなさいm(__)m)
鈴木社長流、粋な日本酒の飲み方
最後に、鈴木社長オススメの「日本酒の飲み方」を聞いてみた。
私はてっきり、「このお酒はこんな料理に合わせて飲むと良い」などの答えが返ってくると思っていたが、浅はか過ぎた。
いわく、まず1つのお酒を、一升瓶でドンと一瓶用意する。
その1つのお酒に、郷土にあるいろいろな料理を合わせていくと、その中で恐ろしいほどペアリングが良い組み合わせが見つかることがあり、その感動はひとしおなんだそう!
そうやって献を重ねることを「献立」というのだ、とも教えていただいた。
シビレる回答過ぎる!!もうまさに一献をついでいるのだ!
確かにそうかもしれない。
日ごろ、この銘柄はどうのこうのと、そのお酒の評論ばかりしがち。
だが、
「今日のお酒一本で、いかに料理を、その席の皆と楽しめるか」。
それこそが、お酒のたしなみなのかもしれない。
我々一行は、日本酒愛と情熱とダジャレの偉大なビッグ「マンスター」鈴木社長と別れを告げ、宮城の日本酒をさらに味わい尽くすために、仙台へ向かうのだった。

※この記事は2025年6月時点での情報を基に作成しています。
※施設・店舗情報は公式サイトおよびGoogleマップの情報を基に作成しています。